衣替えで気分一新しよう!使い勝手の良いヘインズのTシャツならまとめ買い一択!
僕はジョギングを日課にしている。
この街で自分を忘れずに済む手段は少ない。その手段さえ、ほとんどは金がかかる。
ジョギングはわれわれに残された数少ない聖域のようなものだ。
いつも思う。こんなものまやかしに過ぎないと。汗が流れただけ、息があがっただけ、来た道を戻っただけ。そんなことも心地良い。どうかしてる、と思いながら、走るのをやめられないでいる。
近所にある神社、そこの手水所が僕の途中休憩所だ。
僕はその日もそこで休憩をしていた。休憩はしなくてもいけないし、しすぎてもいけない。当たり前だが、行ったら、戻ってこなくてはならないのだ。
その日、「いつも会いますね」と彼は言った。
手水所で話しかけてきた男は綺麗な白髪で、サングラスをかけ、ヘインズの黒Tシャツにスパッツ姿だった。
浅く日焼けして、張りの良い頬。口元からのぞく歯は美術品のように真っ白だった。
「あたたかくなって走りたくなりましてね」と僕は答えた。
「もしよろしければ、少しの間、一緒に走りませんか?」
「かまいませんよ」
しばらく走ってみて、彼がかなりの長距離ランナーだとわかった。深く長い呼吸はほとんど乱れなかった。
「ひとつ、トラブルがありましてね」と彼は走りながら言った。
僕は黙ったまま、目線を前に向けて走り続けた。
仕事というのは、どこにでもあるものなのだ。選ぶか、選ばないか、それだけだ。
特にこの街では、仕事が服を着て、ジョギングをして、話しかけてくるのだ。
(ヘインズ)Hanes Tシャツ ビーフィー BEEFY 2枚組 H5180-2 090 ブラック M
- 出版社/メーカー: Hanes
- 発売日: 2016/12/07
- メディア: ウェア&シューズ
- この商品を含むブログを見る